COCOSA
- 建物名称 :
- COCOSA
- 建物分類 :
- 複合商業施設
- 所在地 :
- 熊本県熊本市中央区
- プロジェクト内容 :
- 新設工事に伴うガラス内装・外装ガラス工事
- 工期 :
- 2015年8月−2017年1月
- 開業 :
- 2017年4月
第1章
プロジェクトの直後に震災発生
机の上にはプロジェクトの図面が山積みになっていた。
2016年4月に起きた熊本地震によって、ガラス復旧工事の案件が毎日引っ切り無しに舞い込んできていた。
緊急性を要す案件が山のようにあった。自分たちも被災した状況下であったが、とにかく待っている人のためにプロジェクトをこなしていった。
遡ること2015年の8月、ある大型プロジェクトが始まった。2014年に閉店したダイエー熊本下通店跡地の再開発プロジェクトだった。
新たな商業施設、熊本の中心地に新たなシンボルが立つ。
まだまだ冷える翌年1月下旬、今回のプロジェクトリーダーの東は、大手ゼネコンが開催するプロジェクトのキックオフミーティングに出席していた。
「COCOSA」プロジェクト。熊本市街の活性化が期待された注目のプロジェクトだった。
当初の予定では工事開始が8月で翌年1月には施工完了する予定だった。
だが、その会議から3ヶ月後、震度7の地震が熊本を襲った。
清永宇蔵商店も地震の影響で倉庫にあったガラスのほとんどが割れてしまい、建物も所々損傷をうけた。幸いなことに社員はみな無事だった。
第2章
復旧工事案件の山積と新たな問題。
そこから目紛しい日々が始まった。
COCOSAプロジェクトは震災後に綿密に調査が行われ、基礎や鉄骨などに問題があるかどうか調べられた。その結果、基礎も建物も問題なかったため、工事は通常通り進められることになった。
大型プロジェクトを進めながら、震災の復旧依頼が営業から次々に飛んでくる。
いつしか東の机の上には処理能力をとっくに超えた量の案件が溜まっていた。
あの時は、本当大変でした。毎日ひっきりなしに案件がはいってきていました。割替案件は商業ビルの案件と違って予想がつかない、だから現場調査を必ずしないといけないんです。それもあって被災案件とCOCOSAの方もスケジュール調整や工程管理を並行してしないといけなかったので、当時は限られた時間の中で必死に動いていました。困ってる人がいるから、とにかく目の前のことを着実にかつスピーディに処理したのを今でも鮮明に思い出しますよ。
そしてその当時もう一つ大きな問題があった。
作業スタッフの確保である。
当時は熊本地震の影響でどこの現場でも職人さんが必要とされるので、みんな人手集めに非常に困っていた。
徳丸は会社のメンバー一人ひとりに協力してもらいながら、鹿児島、宮崎、福岡、沖縄からいろいろなツテを頼って、応援を呼んだ。
その甲斐もあってか、結果なんとか人は集まったのだった。
これができたのも清永宇蔵商店がこれまで長い時間をかけて多くの会社と繋がっているからだった。
持ちつ持たれつ、困った時はお互い様、良好な関係を築いてる清永だからこそ人が集まってくるという。
さらにCOCOSAプロジェクトについては、建設現場が熊本の中心街ということもあり、搬入作業が困難を極めた。
搬入ゲートとエレベーターの設置数が立地エリアの都合で多く取れないので、他の業者との連携がいかにうまくいくかで搬入のスピードが変わってくる。
まずは図面をみて、搬入方法や施工方法をイメージします。どうやったらスムーズに進めれるか、それから現場をみてそのイメージを具体化して、進行管理を進めていきます。若い頃にたくさんの試行錯誤をして苦労したり失敗した経験があったからこそ、多くの引き出しができて、今は最適な組み合わせを見つけることできます。
第3章
熊本の新しい顔となったCOCOSA。
2017年4月熊本の下通エリアに新しい顔がお披露目された。
総ガラス張りで作られた外観は街への圧迫感を軽減しつつ、躍動感を与えている。COCOSAの評判はとてもよく、街に活気を与える存在となった。
プロジェクト後の打ち上げの際に、元請けの大手ディベロッパーの担当者からは、震災の影響もあった中、予定通りプロジェクトを進めてくれたことに感謝の言葉が清永宇蔵商店のプロジェクトチームに送られた。
そして振り返ってみると、同時進行をしていた震災の復旧工事は400件を超えていた。
熊本の象徴となる大型商業ビルを案件と同時進行となった復旧工事もようやく目処がついた。
やっぱり現場が楽しいですよね。みんな力合わせて何かを作る、自分だけじゃ何もできないので。みんなで何かをしていくのは私の性に合ってます。
彼らが手がけたCOCOSAは、街の良好な景観形成に大きく貢献している団体に送られる、「第29回熊本景観賞」を受賞した。